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プロフィール
HN:
GON・狐
年齢:
44
性別:
非公開
誕生日:
1981/01/15
職業:
UNKNOWN
趣味:
PBC、読書、映画、カラオケ
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赤と金を基調とした、豪華な調度類に囲まれた派手ばでしい部屋に、男はいた。
意図的に光度を抑えられた室内には、間接照明の柔らかな光がたゆたっている。
そしてその光を妖しく揺らめかせるように、か細く切羽詰まったような甘い声と、荒い息遣いとが、絡み合うような響きを奏であっている。
その音楽が邪魔されないよう、外の音を締め出すためか――あるいは漏らさぬためか。この時節だというのにすべての窓は閉め切られている。が、部屋の中は蒸し風呂というわけではない。全館を冷却する空調から吐き出される冷やかな風が、天井の格子から音もなく部屋を循環している――が、それとても肌を伝う汗を打ち消すほどではなかった。
溜息混じりの吐息を男が吐き出したのは何度目か。
「暑い――」
か細い呟きとともに、キングサイズのベッドから起き上がる、男の裸の上半身がある。
その背中にはびっしりと汗の滴が浮かび、長く延びたその髪をしっとりと貼りつかせている。
鬱陶しそうにその髪を掻きあげると男は、指先に溜まった汗を見下ろすように薄目を開いた。
それが次第に滴を作り、ぽとり――と落ちていく先。
そこには、同じように汗を浮かべた女の肌があった。
意図的に光度を抑えられた室内には、間接照明の柔らかな光がたゆたっている。
そしてその光を妖しく揺らめかせるように、か細く切羽詰まったような甘い声と、荒い息遣いとが、絡み合うような響きを奏であっている。
その音楽が邪魔されないよう、外の音を締め出すためか――あるいは漏らさぬためか。この時節だというのにすべての窓は閉め切られている。が、部屋の中は蒸し風呂というわけではない。全館を冷却する空調から吐き出される冷やかな風が、天井の格子から音もなく部屋を循環している――が、それとても肌を伝う汗を打ち消すほどではなかった。
溜息混じりの吐息を男が吐き出したのは何度目か。
「暑い――」
か細い呟きとともに、キングサイズのベッドから起き上がる、男の裸の上半身がある。
その背中にはびっしりと汗の滴が浮かび、長く延びたその髪をしっとりと貼りつかせている。
鬱陶しそうにその髪を掻きあげると男は、指先に溜まった汗を見下ろすように薄目を開いた。
それが次第に滴を作り、ぽとり――と落ちていく先。
そこには、同じように汗を浮かべた女の肌があった。
女らしさを極限にまで強調するように豊かに実った白い双丘。その先端の桃色に染まった頂点のすぐ脇に落ちた雫は、そのなだらかな曲面にあらがうことなく、一つ一つ、肌に浮かぶ同族を取り込み、己を太らせていきながら、重力に引かれるままに流れおちていく。
丁度、分水嶺を過ぎた川が渓谷を下るように、胸の谷間に吸い込まれた雫は、細井流れとなってほっそりとくびれた腰へと至り、ややその行き脚を緩くしながらなおも流量を増していく。そしてついには、流れ寄せた多量の水滴をため込んだ叢の中でその他大勢の同族たちと合流し、大粒の水滴となって、最も狭い路を通り抜けながら、シーツの海へと吸い込まれて行くのだ。
上半身を起こした男の膝元には、すでにそうした営みによって生み出された染みが作りだされていた。
そして、それ以外の営みによって生み出された部分も、その中に含まれている。
大地と水の相関にも似たその光景を、隠すものなく見下ろせる視線を持ちながら、男はなお、あまり愉快そうでない表情を浮かべている。
それは、濡れそぼったシーツに身を横たえていた女とて同様だった。
「デュマ……?」
数多の男たちを魅了してやまない蠱惑的な声音に、女が疑問符を響かせる。
その唇から己の名が紡がれるためならば、世の男たちが命をすら投げ出しかねないようなそんな女が。
整った容貌と整った肢体と、そして豊満なまでの情熱とを兼ね備えた女にとっても、この夜の事態は少々、予想外と言えた。
「僕としたことが、夏バテかな」
力なく呟くと、男の手がガウンを取った。二つ。
一つを女に放り、もう一つに自分は袖を通す。
それを女は、さり気なく身を寄せるようにして受け取り、もう一方の手が男に触れる。
その手探りの感覚の中で探り当てたものを、女は愛おしそうに指の中で扱いた。
「こう暑くちゃ仕方ないわ」
慰めるような一言も、女の、たおやかな指先での愛撫も、男を奮い立たせるには満たなかった。
指先に触れる感触は、男がまだ果ててはいないことを女に告げている。にもかかわらずそうなってしまっているということは、ようするに悲鳴を上げているのだ。男の体が。
「ここ数日娼館(おみせ)の空調の調子が悪いのよ。おかげで客足もさっぱりだわ。何でも修理には一週間はかかるんですって」
それでも、屋内の陽気は外に比べればマシだった。
悔しそうな、とも言える表情を浮かべる男の頬に一度口づけして、女は身を起こす。
金色の、緩やかに波打つ髪を長くのばしたこの娼婦(おんな)は源氏名(な)を、アヤメといった。
瞳の深い藍色が由来なのだろうか。
ガウンをタオル代りに汗を拭い、深いため息とともにデュマはベッドに腰を下ろす。
疲れきった、という表情だ。
その彼に、「飲む?」という仕草でアヤメがグラスを差し出す。水差しから注がれた清水だ。
それだけはしっかりと冷やされた水がありがたかった。
受け取って、一息に飲み干した。
グラスの冷たさが掌に心地よく、その名残を惜しむように頬にあてた。
アヤメは裸のまま、自分のグラスに注いだ水をゆっくりと飲み干していた。
その仕草さえもが美しいと思う。
ほう、という吐息。
「これじゃ商売にならないわね。私も夏休みでも貰ってどこか行こうかな」
事実、娼館の多くの娼婦たちは、これ幸いと休暇に出かけていた。そうでもなければなかなか自由になる体ではない。
アヤメが居残っていたのは女将が手元に置きたがったことが大きい。
それも、客がいない以上強く言えるものでもない。
「いいね。海にでも行こうか。一緒に」
微笑を取り戻して、デュマが言った。
賛成、というように。
「決まりね」
アヤメの言い方は、言い出した時すでに結論が出ていたかのようだった。
「ママに言って明後日から一週間休みをもらうわ。うんと遠い南の島にでも行きたいなぁ」
それを聞いてデュマがきょとんとした表情を作る。
明日からではないのか。
「決まってるでしょ?」
だから何故。
「明日は準備の買い物よ。朝イチから出かけるからちゃんと迎えに来てよね?」
当然、というように笑顔を作るアヤメ。
無論すべては男持ちだろう。いったいどれだけ散財させられるやら。
苦笑交じりでデュマは立ち上がる。
その前をアヤメの形の良い尻がバスルームへ向かう。
後を追いかけながら、自分の知りうる限り彼女の最も気に入りそうなビーチを、デュマは探し始めていた。
丁度、分水嶺を過ぎた川が渓谷を下るように、胸の谷間に吸い込まれた雫は、細井流れとなってほっそりとくびれた腰へと至り、ややその行き脚を緩くしながらなおも流量を増していく。そしてついには、流れ寄せた多量の水滴をため込んだ叢の中でその他大勢の同族たちと合流し、大粒の水滴となって、最も狭い路を通り抜けながら、シーツの海へと吸い込まれて行くのだ。
上半身を起こした男の膝元には、すでにそうした営みによって生み出された染みが作りだされていた。
そして、それ以外の営みによって生み出された部分も、その中に含まれている。
大地と水の相関にも似たその光景を、隠すものなく見下ろせる視線を持ちながら、男はなお、あまり愉快そうでない表情を浮かべている。
それは、濡れそぼったシーツに身を横たえていた女とて同様だった。
「デュマ……?」
数多の男たちを魅了してやまない蠱惑的な声音に、女が疑問符を響かせる。
その唇から己の名が紡がれるためならば、世の男たちが命をすら投げ出しかねないようなそんな女が。
整った容貌と整った肢体と、そして豊満なまでの情熱とを兼ね備えた女にとっても、この夜の事態は少々、予想外と言えた。
「僕としたことが、夏バテかな」
力なく呟くと、男の手がガウンを取った。二つ。
一つを女に放り、もう一つに自分は袖を通す。
それを女は、さり気なく身を寄せるようにして受け取り、もう一方の手が男に触れる。
その手探りの感覚の中で探り当てたものを、女は愛おしそうに指の中で扱いた。
「こう暑くちゃ仕方ないわ」
慰めるような一言も、女の、たおやかな指先での愛撫も、男を奮い立たせるには満たなかった。
指先に触れる感触は、男がまだ果ててはいないことを女に告げている。にもかかわらずそうなってしまっているということは、ようするに悲鳴を上げているのだ。男の体が。
「ここ数日娼館(おみせ)の空調の調子が悪いのよ。おかげで客足もさっぱりだわ。何でも修理には一週間はかかるんですって」
それでも、屋内の陽気は外に比べればマシだった。
悔しそうな、とも言える表情を浮かべる男の頬に一度口づけして、女は身を起こす。
金色の、緩やかに波打つ髪を長くのばしたこの娼婦(おんな)は源氏名(な)を、アヤメといった。
瞳の深い藍色が由来なのだろうか。
ガウンをタオル代りに汗を拭い、深いため息とともにデュマはベッドに腰を下ろす。
疲れきった、という表情だ。
その彼に、「飲む?」という仕草でアヤメがグラスを差し出す。水差しから注がれた清水だ。
それだけはしっかりと冷やされた水がありがたかった。
受け取って、一息に飲み干した。
グラスの冷たさが掌に心地よく、その名残を惜しむように頬にあてた。
アヤメは裸のまま、自分のグラスに注いだ水をゆっくりと飲み干していた。
その仕草さえもが美しいと思う。
ほう、という吐息。
「これじゃ商売にならないわね。私も夏休みでも貰ってどこか行こうかな」
事実、娼館の多くの娼婦たちは、これ幸いと休暇に出かけていた。そうでもなければなかなか自由になる体ではない。
アヤメが居残っていたのは女将が手元に置きたがったことが大きい。
それも、客がいない以上強く言えるものでもない。
「いいね。海にでも行こうか。一緒に」
微笑を取り戻して、デュマが言った。
賛成、というように。
「決まりね」
アヤメの言い方は、言い出した時すでに結論が出ていたかのようだった。
「ママに言って明後日から一週間休みをもらうわ。うんと遠い南の島にでも行きたいなぁ」
それを聞いてデュマがきょとんとした表情を作る。
明日からではないのか。
「決まってるでしょ?」
だから何故。
「明日は準備の買い物よ。朝イチから出かけるからちゃんと迎えに来てよね?」
当然、というように笑顔を作るアヤメ。
無論すべては男持ちだろう。いったいどれだけ散財させられるやら。
苦笑交じりでデュマは立ち上がる。
その前をアヤメの形の良い尻がバスルームへ向かう。
後を追いかけながら、自分の知りうる限り彼女の最も気に入りそうなビーチを、デュマは探し始めていた。
to be continued...
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